病院運営の中で、スタッフの解雇が必要になる事があります。
しかし、不当解雇として、解雇に納得していないスタッフが、行政機関や労働者側弁護士に相談するケースが増えてきているので、注意が必要です。
この記事では、解雇の際に従業員が納得せず、トラブルにならない為に、チェックしておきたいポイントについて解説していきます。
不当解雇とは
まず、不当解雇とは何なのかについて解説します。
「解雇」は、スタッフが同意していないふのに病院が一方的にスタッフとの雇用契約を終了することをいいます。
「不当解雇」は、解雇条件を満たしていない、又は解雇の手続きが正確ではなく、労働契約や就業規則の規程に沿わずに従業員を一方的に解雇することです。
病院が従業員を解雇するには解雇せざるを得ない「客観的・合理的」な理由が必要になります。
不当解雇にならない解雇理由
病院の経営不振が理由の場合、
- 人員を削減しないと経営が成り立たない程の重大な危機にある。
- 解雇を回避する為の措置を取っていたか。
- 解雇するスタッフに納得いく理由がきちんとあるのか。
- 解雇について、きちんとスタッフに説明していたか。
この4点に当てはまった場合は、整理解雇となり、不当解雇にはなりません。
スタッフの体調不良や入院が理由の場合、労働基準法19条には「休業する期間及びその後30日間は解雇してはならない」となっています。
復職のめどが立たないほどの長期の休業は、解雇または休職期間満了による退職とされることもあります。
スタッフが起こした重大な問題が理由の場合、懲戒解雇として、即刻解雇が可能です。
不当解雇にならない解雇手続き
解雇は30日以上前に通告します。もし、解雇の通告が30日以内だった場合は最大30日分の平均賃金を支払う必要があります。
不当解雇になる場合
- 女性スタッフの妊娠、出産が理由の解雇
- 育児休業制度の利用が理由の解雇
- 労働組合に加入したことあるいは労働組合活動を行ったことを理由とする解雇
- 介護休業制度の利用が理由の解雇
- 経営不振が理由だが、整理解雇の条件を満たさない解雇
- 解雇の説明を何もされずに解雇する
これらをした場合は、不当解雇になりますので、注意が必要です。
解雇が無効になる場合
「客観的・合理的」な理由がなかった場合は、解雇が無効となり、スタッフを復職させなくてはなりません。そして、解雇期間中に支払われていなかった給与を、さかのぼって支払う必要があります。
スタッフに不当解雇として訴えられたら
解雇したスタッフから不当解雇の主張を受けたら、すぐに訴状の内容を確認し、できる限り早く弁護士に相談しましょう。
期間が長引くと、その分だけ、解雇無効になった場合に支払う給与が増えますので、早め早めの行動が重要となります。
まとめ
不当解雇にならない為には、きちんと条件をクリアし、スタッフに説明をした上で話を進めていかなくてはなりません。
不安がある場合は、解雇する前に、弁護士に相談するのも問題を回避する有効な手段です。