病院運営をしていて、起きてしまうスタッフとのトラブルの1つに、未払い残業代のトラブルがあります。もしも突然、スタッフまたはその代理人の弁護士から内容証明郵便が届き、多額の未払い残業代を請求された場合、病院側はどう対応するのがいいのでしょうか。
この記事では、法律上のペナルティは何があるのか、請求がきた際にはどう対応するべきなのか、について解説していきます。
法律上のペナルティ
未払い残業代については、付加金制度、遅延損害金制度の2つのペナルティが定められています。
付加金制度
裁判所で未払い残業代が悪質と判断された場合に、本来の残業代の額と同額までの範囲で「付加金」という金銭の支払いを命じられます。
遅延損害金制度
残業代については、在職中は「6%」、退職後は「14.6%」の「遅延損害金」がつきます。
スタッフと未払い残業代トラブルが裁判になった場合、「付加金」、「遅延損害金」等のペナルティが加わり、本来の残業代の額の倍額以上の支払いを命じられるリスクがあります。
管理職からの未払い残業代請求では、高額の支払い命令にもつながる可能性もあります。
請求がきた時にすべきことは
請求がきた場合、まず1番に確認してほしいのは消滅時効が成立しているかどうかです。
残業代は、給与支払日の翌日から起算して2年で消滅時効にかかりますので、請求されている未払い残業代の支払日が2年以上前である場合には、時効の利益を受ける意思を相手に内容証明郵便で時効援用通知書を送り、伝えることで、支払い義務は消滅させる事ができます。
残業代請求を否定できる場合
消滅時効が成立していた場合はもちろん、他には
- 残業を禁止していた
- 従業員の主張している労働時間が異なっている
- 固定残業手当で残業代は払われている
等があります。
残業代請求を放置した場合どうなるのか
残業代請求を放置してしまった場合、スタッフが在職中は年6%、退職後は年14.6%もの遅延損害金が発生してしまうので、支払い額がどんどん膨れ上がってしまいます。
または、スタッフに労働審判を申し立てられてしまったり、裁判を提起されてしまう可能性もあります。裁判になると、裁判中も遅延損害金は発生しているので、長引けば長引く程支払い額が増えていきます。
残業代請求にすぐに対応しなかった場合、悪質な病院と判断される事もあり、そうなった場合、最初に解説しましたペナルティの、付加金制度がつく可能性もあります。
基本的に病院側は早急に対応しないと、どんどんデメリットが増えていってしまいますので、残業代請求をされた場合はすぐに対応出来るようしておきましょう。
まとめ
解説してきたように、スタッフから未払い残業代を請求されたときには、すぐに、請求された残業代に時効はきていないか、請求を拒否できるものであるかを確認する必要があります。
早くにしないと、病院側はどんどんペナルティが増えていきますので、スタッフから未払い残業代を請求されたときには、できるだけ早く労働問題に詳しい弁護士に相談することをお勧めいたします。