医療費未払い問題、とても困りますよね。
未払い問題は、病院としてきちんとした解決手順を用意しておくことが必要になります。
この記事では、医療費未払いの患者の診察拒否はできるのか、督促状の発送による回収方法などの医療費未払い対策について解説していきます。
※この記事は「医療費(診療報酬)の未回収について」(医療機関の顧問弁護士|大阪A&M法律事務所)を参考にしております。
未払い患者の診察拒否は可能なのか
一般の商取引であれば、一方が代金を支払わないのであれば、契約を解除することも可能ですし、再度の契約を拒絶することもできますが、
医師には、医師法第19条1項「応召義務」が課されるので、医師の場合にはむずかしいのです。
医師法は「正当な理由がない限り」患者から治療を求められた医師は診療を断ることができないと定められているので、もし違反した場合には行政処分を受ける可能性があります。
「正当な理由」とは、社会通念上やむを得ないと認められる場合(医師の不在や病気による診察不能、専門外である、他の重患を診ている、手術中で手が離せない場合等)を言い、診療費の不払いなどは正当事由に該当しません。
つまり、医療費の未払い患者の診察拒否はできないといえます。
厚生労働省の昭和24年9月10日の通達でも、「医業報酬が不払いであっても直ちにこれを理由として診療を拒むことはできない。」とされています。
未払いの医療費を払ってもらうには
まず、医療費未払いが発生したらすぐに督促状を送ることが大原則です。
督促状を「内容証明郵便」又は「普通郵便」で送ります。
「普通郵便」で送ると82円で送れます。内容証明は最低でも1,252円かかりますので、安価で済ませたい場合は「普通郵便」で送る方がいいです。
内容証明は電子内容証明郵便の制度を導入していない限り、郵便局にいかなければ発送できません。
督促しても支払いを無視されてしまったときは、「支払督促制度」と「訴訟手続き」という裁判手続きで回収する方法がとれます。
医療費の未払い予防
未払い予防の手段は、
- 入院保証金を預かる
- 連帯保証人をつける
- クレジットカードを利用してもらう
などがあります。
入院保証金をあらかじめ預かる
「医療機関は、患者側への十分な情報提供、同意の確認や内容、金額、精算方法等の明示などの適正な手続を確保すること。」と厚生労働省の通達に記されています。
そのため、これらの点を踏まえた書面を作成し、患者に説明し、捺印をもらうことが必要です。
連帯保証人を付ける
連帯保証人には、資力や収入がある人に連帯保証人になってもらいます。
連帯保証人をつけていれば、仮に患者が亡くなった場合でも、相続放棄されて医療費を誰にも請求することができなくなるといったことを防ぐことが可能になります。
クレジットカードを利用してもらう
クレジットカードをあらかじめ患者に登録してもらい、未払いが生じた場合に、カード決済ができる状態にしておきます。
しかし、患者が亡くなってしまった場合はカードが使えなくなってしまうのと、決算の際に限度額を超えてしまった場合は、決済できないので注意が必要です。
まとめ
医療費の未払い患者の診察拒否は出来ませんので、事前に予防する事が大事になります。
現在の民法では、医療費の時効は3年ですので、未払いが発生したら早急に督促状の送付や支払督促など手段をとりましょう。